遺言に反する分割

 

本来、遺言と異なる遺産分割はできません。
遺言を書いた人の意思が最優先されるからです。なぜなら財産をどう処分するかはその所有者が決めるべきだからです。
しかし、中には内容が不合理であったり理不尽であったりする遺言もあるはずです。
この場合、相続人全員の同意があれば遺言と異なる分割をしてもよいことになっています。
相続開始後、相続財産は共同相続人の共有財産でもあるからです。
また、民法986条に「遺贈は放棄出来る」と書いています。遺言であなたに1憶円あげますと書かれていても、いりませんと言えるのです。
いくら遺言者の意思を優先するといっても、遺贈を受けることまで強制は出来ないのです。
そのことから、全員が同意したということは、必ず遺言で多くもらえることになっているひとがその全部なり一部を放棄することに同意しているわけですから、それも可能となります。
またこの時、遺言執行者がいた場合にはその者の同意も必要となります。
さらに、既に分割を済ませていた場合、特に登記などを終えていたならば贈与税がかかってしまうことがあります。

 

特に遺言の内容が遺留分を侵害している場合に、それが法定相続人間でのことであったなら、わざわざ内容証明を送ったり訴訟によったりしなくとも口約束のみでそれを実行すればよいこととなります。
結果、協議で遺言に反することをした形になりますが、これも可能です。

ホーム RSS購読